「アムウェイって違法じゃないの?なんで捕まらないの?」
こんな疑問を持ったことはありませんか?
SNSでの勧誘や、友人からの突然の“副業話”。どこか怪しいと思いつつも、実際にはアムウェイが捕まったというニュースはあまり聞きません。その理由には、日本の法律の仕組みや、企業と個人の責任分担、そして巧妙に設計されたビジネスモデルが関係しています。
本記事では、「アムウェイはなぜ捕まらないのか?」というテーマに迫り、法律面から社会的イメージ、さらには今後の規制動向までをわかりやすく解説します。グレーゾーンビジネスの実態と、知っておくべきリスクを一緒に学んでいきましょう。
アムウェイは違法じゃないの?その誤解と事実を解説
アムウェイと聞くと、「それって違法なんじゃないの?」と思う人も多いかもしれません。
でも実は、アムウェイのビジネスはすぐに違法とは言えない“ある特徴”を持っています。ここでは、よくある誤解と、法律上の正しい理解についてわかりやすくお話ししていきます。
マルチ商法とネズミ講の違いとは?
アムウェイのようなビジネスモデルが話題になると、よく「それってネズミ講じゃないの?」という疑問が出てきます。しかし、ここで知っておいてほしいのは「マルチ商法」と「ネズミ講」は法律上まったく別物だということです。
ネズミ講は「商品やサービスが存在せず、お金だけを回す」完全な違法行為です。一方、マルチ商法(正式には連鎖販売取引)は、商品やサービスがきちんと提供されている場合に限り、一定の条件を満たせば合法とされています。
アムウェイでは実際にシャンプーや洗剤、サプリメントなどの製品が販売されており、購入した人がその商品を使って満足することもあります。この点で、ネズミ講とは大きく異なります。
ただし、合法とはいえ「勧誘の仕方」に問題があると法律違反になる可能性があるため、注意が必要なのです。
マルチ商法は日本の法律では「特定商取引法」で規制されており、説明義務や書面交付義務などが定められています。このルールに従えばアムウェイのようなビジネスモデルも成立しますが、これを無視したり過剰に利益を誇張したりすると問題になります。
つまり、「アムウェイ=違法」ではなく、「やり方によっては違法になる可能性がある」というのが正確な理解なのです。
アムウェイは特定商取引法にどう対応している?
日本ではマルチ商法に関するルールは「特定商取引法」によって明確に定められています。この法律では、「連鎖販売取引」としてアムウェイのようなビジネスモデルも規制対象となります。アムウェイ自体もこの法律に則り、正規の会員登録や契約書の取り交わし、クーリングオフ制度などを整備しています。
アムウェイは企業として、勧誘者が法律違反をしないようにさまざまなマニュアルやトレーニングも提供しています。たとえば、「勧誘前には自己の所属を明かすこと」「誤解を招く説明をしないこと」「収入を保証するような言い方をしないこと」などが定められており、それを遵守するよう会員に伝えています。
しかし、現実には全ての会員がこのルールを守っているわけではなく、一部の人が違法な勧誘を行ってしまうケースもあります。それでも「企業としては法律に沿って運営している」と主張できる仕組みがあるため、企業全体が処罰を受けることは少ないのです。
つまり、「アムウェイが捕まらない」理由のひとつは、法律に合ったシステムや運用体制を整えていることにあります。
過去に行政処分を受けたケースとは?
実はアムウェイも過去には行政処分を受けたことがあります。たとえば、2000年代初頭には「不適切な勧誘があった」として、消費者庁から業務改善命令を受けた事例があります。また、直近でも若年層への違法な勧誘が社会問題化し、複数の大学や自治体が注意喚起を行っています。
これらのケースでは、主に「事前にビジネス目的を伝えずに飲み会に誘い、あとから勧誘する」「誇張した表現で金銭的利益をアピールする」「断ってもしつこく勧誘する」といった違法・違反の行為が問題視されました。
しかし、こうしたケースではあくまで“個別の会員”がルールを逸脱したことが原因であり、「アムウェイ本体が違法行為をした」という認定にはなりませんでした。そのため、会社としての責任は問われず、「企業は合法的にビジネスをしている」という立場が維持されるわけです。
このように、アムウェイは法的には何度か問題視されてきたものの、「違法と認定されて摘発された」わけではないという事実が、捕まらない理由の一つになっています。
捕まるかどうかは「勧誘のやり方」がカギ
アムウェイの活動が違法とされるかどうかの最大のポイントは「勧誘のやり方」です。法律では「友人関係や人間関係を利用して、商品販売やビジネス勧誘をする際には、事前にその目的を明確に伝えなければならない」と定められています。
つまり、カフェや飲み会などに相手を誘い、「ちょっと話したいことがある」と言って何も説明せずに行き、実はアムウェイの勧誘だった――というようなやり方は完全にNG。これをやってしまうと「特定商取引法違反」として個人が処罰の対象になります。
逆に言えば、きちんとルールにのっとって説明し、相手に契約書を渡し、クーリングオフ制度を案内していれば、アムウェイの勧誘自体は法律に違反しません。
この“線引き”をきちんと守れるかどうかが、捕まるかどうかの分かれ道となるのです。
そして実際には、このルールを守らずに違法な勧誘をする人が一部存在するため、「アムウェイは怪しい」というイメージがついてしまっていますが、法律上は明確にルールがあり、それに従えば合法です。
法的には“黒”ではなく“限りなくグレー”
結論から言えば、アムウェイは完全な“黒”ではありません。しかし、全くの“白”かと言われると、限りなく“グレー”に近いといえるでしょう。その理由は、「法律をギリギリでクリアしているが、社会通念や倫理的に疑問が残る手法が存在する」からです。
たとえば、「友達づきあいを装って勧誘する」「利益が確実に出るかのような誤解を与える話し方をする」「若者に対して将来不安をあおる」などは、法律違反ではなくてもモラル的に問題視されやすい行為です。
また、個人のSNSなどで堂々とビジネスをアピールする行為も、ルールを守っていれば合法ではあるものの、相手によっては“だまされた”と感じることもあります。
このように、法的にはセーフでも、一般的な感覚ではアウトに近い手法が多いため、「アムウェイ=グレーゾーンビジネス」と言われるのです。そして、この“グレーゾーン”こそが、アムウェイが捕まらない最大の理由とも言えるでしょう。
アムウェイが捕まらない理由とは?法律のしくみを紐解く
「どうしてアムウェイは捕まらないの?」という疑問には、法律の仕組みや責任の考え方が関係しています。
このパートでは、アムウェイのビジネスが法律的にどう成り立っているのかを、シンプルに説明していきます。
アムウェイのビジネスモデルは法律の枠内?
アムウェイのビジネスモデルは「連鎖販売取引(マルチ商法)」という仕組みに基づいています。これは特定商取引法によって規制されていますが、法律に違反していなければ合法とされています。アムウェイは商品の販売と、それを仲介することで報酬が得られる制度を導入しており、その仕組み自体が法に触れることはありません。
重要なのは、「商品をきちんと販売していること」「勧誘活動に一定のルールがあること」です。これらを守っていれば違法ではないのです。アムウェイの商品は実際に使用できる日用品や健康食品であり、販売実績もあるため「実体のない金儲け話」とは異なります。
つまり、アムウェイが捕まらないのは、違法な仕組みではなく、あくまで「合法ギリギリの設計」でビジネスを行っているからなのです。もちろん、ルールを逸脱すれば処罰されますが、ビジネスモデルそのものは「法律の中で設計されている」と理解すべきです。
個人の責任と企業の責任の違い
アムウェイで問題が発生した場合、その責任は誰にあるのでしょうか? 実はここに、アムウェイが“捕まらない”理由のひとつが隠されています。基本的に違法な勧誘やトラブルの大半は、「個人会員」の行動によって発生しています。
アムウェイは自社の商品やビジネスの説明に関して、一定のガイドラインや研修制度を設けており、企業としては「法令遵守」を前提とした運営をしていると主張できます。つまり、会員がルールを破ったとしても「企業は適切な教育をしていた」とすることで、企業責任を回避することが可能なのです。
一方で、会員は個人事業主の立場で活動しているため、違法な勧誘や誤解を招く説明をすれば、その責任はその人自身に降りかかります。このように、企業と個人の責任が明確に分かれていることで、アムウェイ本体が直接法的責任を問われる場面は極めて少なくなっています。
商品の品質と価格設定が“合法性”を支える
アムウェイが捕まらないもう一つの理由に、「実際の商品が販売されており、その品質も一定の評価を得ている」という点があります。アムウェイの商品は、健康食品、化粧品、家庭用品など多岐にわたっており、日本国内での薬事法や食品表示法などの基準をクリアしています。
さらに、価格についても市場価格に比べて高額な商品もありますが、「極端なぼったくり価格」ではないため、法的な問題になりにくいのです。
たとえば、「1個5万円のマルチビタミン」などあからさまに不当な価格であれば、詐欺の疑いがかかりますが、アムウェイの商品は高品質なイメージ戦略と併せて一定の需要があります。
このように、法的な観点から見て「商品としての価値がある」と判断されることが、アムウェイが摘発されにくい一因となっているのです。
裁判沙汰にならない理由と法的回避の仕組み
アムウェイに関する裁判が表沙汰になることはあまり多くありません。これはなぜかというと、多くの場合、被害を受けた人が「被害届を出さない」「警察に相談しない」「泣き寝入りする」ケースが多いからです。
また、契約書やクーリングオフなどの制度が整っているため、「形式的には合法」である場合が多く、訴訟に発展しにくいのです。さらに、アムウェイの会員も「友人関係」を壊したくないという理由で、トラブルになっても表に出さないことが多いのです。
加えて、アムウェイ自体も「問題があった場合は即座に対処する」姿勢を取り、火種が大きくならないように対応しています。このような法的回避の仕組みがあるため、企業全体として裁判や摘発に至ることはほとんどないのです。
実際に捕まったアムウェイ会員のケーススタディ
「アムウェイ関係者が逮捕された」というニュースを見ることもありますが、それはどういったケースなのか気になりますよね?
実際にあった事例をもとに、どんな行動が違法になるのか、どこに問題があるのかを具体的に見ていきましょう。
大学生が逮捕された事例とは?
ここ数年、アムウェイに関与していた大学生が逮捕された事例がいくつか報道されています。特に注目されたのが、東京や大阪の大学生による「無許可・虚偽の勧誘」です。彼らは大学の友人をLINEやSNSで集め、目的を隠して飲み会やセミナーに招待し、実際にはアムウェイの勧誘をしていました。
このような行為は特定商取引法で禁じられている「目的を隠した勧誘」にあたります。さらに「契約を強要した」「断ってもしつこく連絡した」など、悪質な勧誘として警察が動くレベルの違反となったのです。
この大学生たちは、アムウェイの高額なセミナーに参加し「成功者になる方法」などを教わった後、自分も同じように活動を始めました。しかし、法律についての正確な理解がなかったため、知らず知らずのうちに違法行為を繰り返していたのです。
このような事件がニュースになることで「アムウェイ=違法」という誤解が広がりますが、実際には個人の行動が問題視された事例で、アムウェイ本体が摘発されたわけではありません。
SNSを使った違法勧誘のパターン
最近ではSNSを活用した勧誘が問題となっています。特にInstagramやTikTokで「自由なライフスタイル」「起業女子」「副業で月収30万円達成!」といった投稿をしてフォロワーを集め、その後DMでアムウェイに誘うという手法です。
このような方法は、表向きは「副業」や「自己投資」として見せていても、実際にはアムウェイの勧誘であることを最初に明かしていないケースが多く、特定商取引法に違反する恐れがあります。
また、SNS上では「キラキラ投稿」によって夢を見せることでターゲットの判断力を鈍らせ、「もっと話が聞きたい」と思わせるような心理誘導が使われることもあります。これが“誇大広告”や“詐欺的手法”として取り上げられることもあり、警察や消費者庁が注目するポイントにもなっています。
特に若年層や学生など、社会経験が少ない層が狙われやすく、トラブルになった場合はSNSのやり取りが証拠として残るため、違法性が立証されやすくなります。結果として、DMの内容や実際の会話内容が「虚偽説明」だと判断されれば、摘発の対象となるのです。
セミナー形式での違法行為の実態
アムウェイの会員によって行われている「セミナー形式の勧誘」にも、違法性が指摘されるケースがあります。特に問題となるのは、セミナーの開催目的を事前に説明せず、「自己啓発」「夢を叶える方法」「成功する人の習慣」などの名目で集客し、実際にはアムウェイへの勧誘を行う手法です。
これも「目的を隠した勧誘」として特定商取引法に違反する可能性があります。また、会場で高揚感をあおり、「この場で契約すれば成功のチャンスを逃さない」といった言い方でプレッシャーをかけることも、違法と判断されるケースが増えています。
セミナー形式では、「講師役の会員が過去の自分を語るストーリーテリング」「会場全体で拍手喝采する演出」など、心理的に断りづらい空気が作られることが多く、冷静な判断ができない状態で契約をさせてしまうこともあります。
このような手法が報道で明らかになるたびに、アムウェイへの風当たりは強まりますが、やはり責任は「実施した会員」に問われることが多く、企業本体は処分されにくいという現状があります。
アムウェイ本体と会員の責任の切り分け
アムウェイに関するトラブルが起きた際に必ず議論されるのが、「本体の責任」と「会員個人の責任」の切り分けです。基本的に、アムウェイは会員に対して「法令遵守ガイドライン」や「ビジネスルール」を用意しており、違反行為が起きた場合には「それは会員個人がルールを守らなかった結果」と説明します。
法律上も、連鎖販売取引における企業と会員の関係は、企業が直接雇っているわけではなく、「販売代理人」「個人事業主」としての契約です。そのため、違法行為を行った場合、原則として責任はその個人にあります。
もちろん、企業がそれを黙認したり、違法な手法を推奨していた場合は別ですが、アムウェイの場合は「違法な勧誘を禁止する明文化されたルール」が存在しているため、会社自体の責任を問うのは難しいのです。
この構造がある限り、たとえ何百人の会員が違反しても、本体が“捕まる”可能性は低いというわけです。
どんな勧誘が違法なのか、具体例で学ぶ
最後に、どんな勧誘が具体的に違法になるのかを整理してみましょう。以下のような行為は特定商取引法違反に該当する可能性があります:
違法な勧誘内容 | 説明 |
---|---|
目的を隠して誘う | 「友達とごはん行こう」と言って勧誘が目的だった |
誇大な表現を使う | 「100%成功する」「年収1000万も夢じゃない」など |
クーリングオフを案内しない | 契約書に説明がなく、口頭でも案内しなかった |
契約を急かす | 「今決めれば成功する」「今しかない」と急がせる |
断ってもしつこく誘う | LINEや電話で何度も連絡をする |
これらの行為は、意図的でなくても違法と判断されることがあります。アムウェイの会員になる人はもちろん、勧誘を受けた人も、こうしたルールを知っておくことで自分の身を守ることができます。
アムウェイと法律の関係:特定商取引法と景品表示法
アムウェイのようなビジネスは、いくつかの法律によってしっかりルールが決められています。
中でも特に大事なのが「特定商取引法」と「景品表示法」。
ここでは、その2つの法律とアムウェイの関係を詳しく解説していきます。
特定商取引法の「連鎖販売取引」とは?
アムウェイのビジネスモデルは、「連鎖販売取引」に分類されます。これは「特定商取引法」の中で規定されている合法的な販売形態ですが、いくつかの厳しいルールがあります。
連鎖販売取引とは、商品を販売すると同時に、その販売者がさらに販売者を紹介し、その結果報酬を得る仕組みを指します。いわゆる「マルチレベルマーケティング(MLM)」のことですね。この制度自体は違法ではなく、しっかりとした手続きとルールを守れば、認められた販売方法です。
しかしこの制度には、以下のような義務があります:
-
商品購入前にビジネスモデルを説明すること
-
書面で契約書や説明書類を渡すこと
-
クーリングオフ制度を正しく説明すること
-
勧誘時に虚偽や誇大な説明をしないこと
アムウェイはこれらを社内ルールとして明文化しており、ガイドブックや動画教材などで会員に指導しています。ただし、現場でこれらが守られていない場合は、その会員が違法行為に該当する可能性があります。
つまり、制度そのものは合法でも、運用次第でグレーにも黒にもなる…それがアムウェイのようなビジネスの難しさなのです。
景品表示法に違反するケースとは?
アムウェイのようなネットワークビジネスでは、「商品が本当にその価値を持っているのか」や「誇大な広告になっていないか」が問題になります。そこで重要になるのが「景品表示法」です。
この法律は、消費者を誤認させるような表示や、過大な景品の提供を防ぐための法律です。たとえば、アムウェイの製品が「このサプリを飲めば絶対に痩せる!」というような表現をしていたとすれば、それは景品表示法違反になります。
現実には、アムウェイ本体はこの法律を理解し、製品の広告やパンフレットにおいて慎重な言葉選びをしています。しかし、個人会員がSNSで「この化粧品、肌が10歳若返った!」などと誇張した投稿をすると、景品表示法違反の可能性が出てきます。
実際、過去には他のMLM企業が「がんが治る」といった虚偽の表示で摘発された例もあり、アムウェイの会員も誇大表現には細心の注意を払う必要があります。
行政指導や業務停止命令の背景
アムウェイは過去に行政指導や注意喚起を受けたことがあります。その背景には「一部の会員による違法勧誘」「若者への過剰な勧誘」「クーリングオフ制度の説明不足」などがありました。
特に問題視されたのは、勧誘目的を伏せて知人を呼び出し、飲食の後で突然ビジネスの話を始めるという手法です。これにより、「信頼関係を悪用した勧誘」として行政が介入する事例が発生しました。
行政からの指導には「業務改善命令」や「是正勧告」などが含まれますが、あくまで是正を目的とした対応であり、すぐに摘発や業務停止になるわけではありません。つまり、指導や監視はされているけれども、「ルールを見直せば再開可能」というスタンスなのです。
アムウェイはこのような行政の動きに対しても、対応策や改善策を打ち出すことで「企業としての責任感」を示し、摘発を回避しているという側面があります。
法律を守っていてもグレーな手法が問題視される理由
法律を守っていれば問題ないはず…そう思う人も多いかもしれません。しかし、アムウェイが抱える最大の問題は、「法律に違反していなくても、倫理的に問題がある」と指摘される点です。
たとえば、「成功したい?」「会社員じゃもう稼げないよ」というセリフを使い、不安をあおる形で勧誘を行う手法があります。これは明確な法律違反ではないものの、人間関係を利用した心理的圧力と見なされ、社会的には批判の対象となることがあります。
また、「成功者のキラキラ投稿」や「年収○千万」など、正確な根拠に基づかない情報を発信することも、直接の違法性はなくても“グレーな手法”と見なされがちです。
このような倫理的な問題が、SNSや口コミを通じて広がり、「アムウェイ=怪しい」というイメージが形成されていくのです。そしてこのイメージは、実際の法律違反がなくても社会的信用を下げる要因となり、常に“危うい存在”として見られることにつながっています。
国の対応と今後の法改正の可能性
アムウェイのようなMLM(マルチ商法)に対して、国も黙っているわけではありません。消費者庁や国会では、若年層を中心とした被害報告が増えていることを受けて、法改正や規制強化の議論が進められています。
たとえば、「SNSを通じた勧誘に対するガイドライン整備」「勧誘前の事前通知の義務化」「未成年への勧誘禁止の強化」などが検討されています。また、アムウェイに限らずMLM業界全体に対して、より厳格な報告義務や登録制度を導入しようという動きも見られます。
さらに、行政による抜き打ち監査や、SNSアカウントの監視強化なども行われており、従来のように「個人の自由」として放置される時代ではなくなりつつあります。
今後、法改正が実施されれば、アムウェイのようなビジネスモデルにも大きな影響が出る可能性があり、合法的な運営を続けるためには、より一層のコンプライアンス意識が求められる時代になっていくでしょう。
アムウェイの今後はどうなる?社会と法律の目が向ける先
今は捕まっていないアムウェイですが、これからもこのまま続けられるとは限りません。
社会や法律がどう変わろうとしているのか、そしてアムウェイがどう影響を受けるのかを考えていきます。
若者やSNS時代の新しい勧誘スタイル
近年、アムウェイの勧誘方法は大きく変化しています。特にSNSの発達により、Instagram、TikTok、X(旧Twitter)などを活用した「キラキラ系アカウント」や「ビジネス系インフルエンサー」を装った勧誘が急増しています。中でも大学生や20代前半の若者を中心に、「副業で稼げる」「自由なライフスタイルが手に入る」という甘い言葉で興味を引きつける手法が主流となっています。
このスタイルの問題点は、勧誘の意図を隠して「仲良くなってからビジネスの話を持ち出す」という点です。特定商取引法では、勧誘目的で会う場合は、あらかじめその目的を告げる必要があります。つまり、こうしたSNSを使った“間接的な勧誘”は違法スレスレの行為となる可能性があります。
さらに、「SNS投稿は本人の自由」とされてきた時代から、「投稿内容にも責任が問われる」時代へとシフトしています。これにより、従来のような曖昧な表現や夢をあおるだけの投稿が社会問題として指摘されるようになり、今後ますます規制が強化されると予想されます。
政府や消費者庁の今後の動き
アムウェイに限らず、MLM業界全体への監視が強まっています。消費者庁や経済産業省は、違法な勧誘やトラブルが多発している現状を踏まえて、具体的な対策を検討しています。
特に注目されているのが、以下のような取り組みです:
-
SNS勧誘のルール明確化
-
若年層(特に大学生)への勧誘制限の法整備
-
MLM企業に対する情報開示義務の強化
-
行政処分の迅速化と情報の公開制度
実際に、消費者庁は大学や高校と連携し、若者向けの啓発資料を配布する取り組みを始めています。また、警察庁との協力で、悪質な勧誘が通報されやすい仕組みも整備されつつあります。
政府のこうした動きが活発化する中で、アムウェイもそのビジネス手法を見直さざるを得なくなっています。今後は「合法かどうか」だけでなく、「社会的に許容されるかどうか」が問われる時代に突入しているのです。
MLM業界全体のイメージと信用問題
アムウェイはMLM(マルチレベルマーケティング)業界の中でも最も有名な企業のひとつですが、その分、社会的なイメージにも影響を受けやすい立場にあります。SNS上では「アムウェイに勧誘された」「友人を失った」といった体験談が多数投稿されており、全体的な印象は決して良いとは言えません。
また、MLM業界全体としても、同様の構造を持つ企業が多く存在し、アムウェイ以外にも悪質なビジネスが問題視されることで、業界全体の信用も揺らいでいます。つまり、1社の問題が他のMLM企業にまで波及し、業界全体が「怪しい」「危ない」と見られるようになってしまうのです。
このような信用問題は、新規の勧誘やビジネスの展開にも大きな障害となります。特に若い世代は「信用できるかどうか」を重視するため、少しでも違和感を持たれれば勧誘は成功しません。
今後、アムウェイを含むMLM企業が生き残っていくためには、業界全体として「健全化」を目指すことが急務です。
法改正がアムウェイに与える影響とは?
法改正が進めば、アムウェイのようなMLM企業には具体的な影響が及ぶでしょう。たとえば、次のような規制が導入されると考えられています:
-
事前に書面で勧誘目的を通知する義務
-
SNS上での収益やライフスタイルの誇張表現の規制
-
大学生など若年層へのビジネス勧誘の禁止
-
紹介報酬制度の透明化と上限の設定
こうした改正がなされると、これまでのような自由な勧誘スタイルは大きく制限され、会員の活動もより厳しく管理されることになります。結果として、これまでのように「自由に稼げる」「夢を見せて仲間を増やす」といったモデルが機能しなくなる可能性もあるのです。
アムウェイはこれまで、法の隙間を突きながらもルール内でビジネスを展開してきましたが、法改正により“隙間”が埋まってしまえば、その存続自体が揺らぐことになります。
グレーゾーンビジネスの未来はどこへ?
最後に、アムウェイに象徴される「グレーゾーンビジネス」の未来について考えてみましょう。アムウェイのように、法律には違反していないものの、モラルや倫理の観点で問題視されるビジネスは今後ますます注目される分野になります。
社会の価値観が変化し、情報の透明性が高まる中で、グレーなビジネスモデルは生き残りにくくなっていきます。特に若者は情報収集力が高く、ネット上の口コミや評判を重視する傾向があるため、少しでも怪しいと感じられればすぐに距離を置かれてしまいます。
つまり、アムウェイの今後を左右するのは「法」だけでなく、「世間の空気」とも言えるのです。
もしアムウェイがグレーから脱却し、完全にクリーンな企業として社会から受け入れられる道を選ぶのであれば、大きなビジネス転換と透明性の確保が求められるでしょう。
まとめ:アムウェイが“捕まらない”理由と今後の展望
アムウェイがなぜ「捕まらないのか?」という疑問には、実に多くの要因が複雑に絡んでいることが分かりました。
まず、ビジネスモデルそのものは「特定商取引法」に基づいて設計されており、法律の枠組みの中で運営されています。これにより、制度上は違法ではなく、違反行為があったとしても「それは個人会員の責任」という整理が可能です。
また、SNSやセミナーを活用したグレーな勧誘方法が問題視されながらも、「商品が存在していること」「契約制度が整っていること」によって法的な摘発を逃れてきた側面もあります。
さらに、勧誘方法が法律に反していない限り摘発されにくい、という法の仕組みもアムウェイが捕まらない理由のひとつ。実際に行政からの指導はあっても、摘発にまでは至らないケースがほとんどです。
しかし今後は、SNS時代に合わせた法改正の流れや、社会の倫理観の変化により、これまでの“グレーゾーン戦略”は通用しなくなる可能性があります。企業としての透明性や、会員に対する教育体制の徹底がなければ、アムウェイの信頼はますます失われていくでしょう。
「捕まらない=問題がない」ではなく、「捕まらない仕組みの中でリスクを抱えたビジネス」であることを理解し、消費者としても正しい知識と判断力を持つことが重要です。